円広志さん「寂しがり屋でした」 たかじん

30年来の親交があり、若いころはよく二人で漫才をした歌手の円広志さんは「どこか孤高の人. 寂しがり屋でね、酔いつぶれるまで誰かがいないとダメだったんです」と懐かしむ. やしきたかじんさん死去 やしきさんの誕生日に、午前2時ごろ自宅へ呼び出されたことも. 「でも料理を作ったりたばこの灰皿を取り換えたり、とにかく気遣ってくれて、知らんまに寝てるんです」 東京へ進出したものの、花開くことがなく関西へ戻ったところが、自分に似てると円さんはいう. 「その悔しさが一つの大きな力になっていたのでしょう. だから、東京で失敗したぼくをかわいがってくれた. カラオケに自分の曲を並べるのが夢だったので、北新地のお店で自分の歌をうれしそうに歌うたかじんさんが忘れられません」と話した. 聖人君子でもないかぎり口の失敗は多い. 言うんじゃなかった――. われら凡人、悔いはいつも舌のあとに遅れてついてくる. 「沈黙は自分自身を警戒する人にとって最良の安全策である」という格言も何のその. とかく舌はよく動く▼NHK新会長の就任会見での発言が波紋を呼んでいる. 「会長職はさておき」などとして持論その他を大いに語った. 従軍慰安婦問題では「戦争地域にはどこでもあったと思っている」. あれやこれや、このポストの人として異例の発言だ▼独仏の国名に続けて「なぜオランダにまだ飾り窓があるんですか」と述べた. 飾り窓とは売春街をさす. 失言というより、籾井勝人(もみいかつと)氏は心と口の距離が近い率直な人なのだろう▼懸念の多い特定秘密保護法については「これが必要というのが政府の説明ですから」「あまりカッカすることはない」など、なにかと政府に寄りがちだ. 法律に反対する国民も受信料を払っていることを、お忘れではないか▼言葉の目方は出る口で決まる. 地位ある人が発するものは市井の会話と同じではない. ご本人には同じ口でも、これまでとは重みが違う. 自覚不足という話でもあるまい. 職にふさわしい人か、どうか. 生じるのは素朴な疑問符だ▼安倍首相に近い人たちが経営委員に送り込まれ、その委員会で選んだ会長である. 「政府が右ということを左とはいえない」とも語った. 是々非々を封じるということだろうか. 公共放送も含め、それは報道の生命線のはずだが.